1月29日 金沢星稜大学にて理事 松橋崇史 講演 タイトルは「ホストタウンによる地域活性化ーレガシー形成のために求められることー」

1月29日 金沢星稜大学で開催されました人間科学部学術講演会「ホストタウンによる地域活性化の将来展望と現状課題」において理事の松橋崇史が「ホストタウンによる地域活性化 -レガシー形成のために求められること-」というタイトルで講演を行いました。講演後は、パネルディスカッションを行い、石川県内の金沢市と小松市におけるホストタウンの取り組みを踏まえて、ホストタウン事業に関わる意義を参加者と共に考えました。

講演では、ホストタウン事業の概説を行い、特徴的な事例として青森県三沢市、鹿児島県大崎町、山梨県山中湖村の活動を紹介し、その後、2002年FIFAW杯日韓大会の際にキャンプ地になった地域でレガシーがどのように形成されたのかについて研究成果に基づき説明し、レガシー形成に向けた方策について説明をしました。

その後のパネルディスカッションでは、金沢市と小松市のホストタウン事業の紹介がありました。金沢市はフランスとロシア、小松市はカヌーのナショナルトレーニングセンターである小場潟を擁することからイギリス、フランスはじめ8ヵ国のホストタウンになって準備を進めています。両市とも、パラリンピックに出場するチームの受け入れも行っており、活発なホストタウン事業を行っていました。

両市ともホストタウン事業を支えるボランティアを募集していました。大会運営を支えるオリンピック・パラリンピック本大会のボランティアと違い、ホストタウン事業のボランティアは、選手との距離が近く、応援対象として選手を捉え、支援することが可能です。これは、ホストタウン事業に取り組む地域だからこそ得られる経験であり、参加していた学生・市民も関心を持って聞いていました。

両市が共通して指摘していたことは、レガシーは「共生社会の実現」に向けた取り組みの推進だということです。ホストタウンとなってオリンピック、パラリンピック選手を受け入れ、大会でベストパフォーマンスを発揮してもらうために応援することは、選手・コーチ・トレーナーの要望を聞き、全力で対応することに他なりません。キャンプに関わる、行政職員、宿泊、飲食、交通、スポーツ施設、国際団体、文化団体などが工夫を凝らして対応する中で、従来では取り組まなかった配慮まで行うことになります。この過程で、「多様な人々を受け入れる」という経験/ノウハウを学び、選手を応援する中で、そのやりがいに気付くことになる、この過程が「共生社会の実現」のプロセスだということでした。

ホストタウン事業が、当該地域の未来に何を遺すのかについての評価は、大会後数年たって評価されるべきですが、既に様々な影響が出ていることを実感したシンポジウムとなりました。