ホストタウンから始まる国際交流

ワクワクすることから始めよう

2017年6月16日山梨県富士吉田市において「ホストタウンから始まる国際交流」と名付けられたシンポジウムが富士五湖青年会議所主催で開催された。

今回の講師は地域活性化学会の御園慎一郎氏と福崎勝幸氏。
両氏ともスポーツによる地域活性化で大活躍されている方だ。

「まずはみなさんでワクワク楽しみましょう」そんな言葉から今回の講演がスタートした。

プロフィールを見ても政府で仕事をされていた方でもあり、少し難しい内容になることを想定していた方が多かったと思うが、会場の雰囲気が一変した。

東京オリンピック・パラリンピックはここ数年間では最大のイベントである。日本全体が力を合わせていかなければ成功にはつながらない。

これまでも組織委員会、政府、東京都による様々な事業に対する調整が報道されており、どこかで楽しむことを忘れていたのだろう。

キャンプ誘致やホストタウン制度…まさしく政府の作った難しい事業のように感じていた方も少なくない。

現在でもキャンプ誘致とホストタウン制度を混同されている方もいらっしゃる。補助金のためにホストタウン制度を活用するという考え方もあるのかもしれない。

しかし、今回のシンポジウムは異なっていた。「まずはみなさんでワクワク楽しみましょう」これから始まったのだ。

前回の東京オリンピックや日韓ワールドカップの熱狂を思い出してみよう。

メガイベントで残ったのはインフラもあったかもしれないが、もっとも大きな財産はみんなが熱狂して盛り上がったことではないだろうか。

どちらのイベントも伝説として語り継がれている。これから先もそうなることだろう。

2020年の東京オリンピック・パラリンピックがそうなるためには、難しい説明や制度はいらない。

「みんなで盛り上がること」これが最重要である。国民の盛り上がりが大きくなれば、民間企業も政府も行政も仕事を作り始める。

今は逆転の現象が起きているのではないだろうか。そんな問題提起も今回の講演には盛り込まれていた。

講師がバトンタッチし、精神論だけでなく実践論としての十日町市とクロアチアの取り組みが紹介された。

十日町市とクロアチアの交流のきっかけは2002日韓ワールドカップだったそうだ。

2002年にも参加国とキャンプ地になった市町村の交流が大きく取り上げられた。

カメルーンと中津江村の交流が有名ではあるが、十日町市とクロアチアの交流は住民レベルで強い結びつきをしていることが紹介された。

クロアチアから送られたカップを争奪するサッカー大会のお話やクロアチアチームが日本で試合をするときには住民が応援に出かけるお話など現在進行形で「楽しんでいる」実例だ。十日町市にはクロアチア大使も訪れることがあり、住民たちとの交流を深めている。

当然、2020年の東京オリンピック・パラリンピックでも交流を行うことになる。

こういった交流が多くの市町村で行われることが期待されている。

2002サッカーワールドカップの時も多くの市町村がキャンプ誘致に取り組んできた。

その交流が残っているだろうか。なぜ残らないのだろうか。その答えの一つとして、楽しんでいないことが挙げられるのではないだろうか。

キャンプを誘致したという成果、ホストタウン制度で補助金を取ってきたという成果、これが目的になっている市町村も少なくない。

東京オリンピック・パラリンピックまであと3年。国民みんなで楽しむために、今何ができるだろうか。

「ワクワクしてください」と言われてもワクワクする人はいないだろう。何よりも「ワクワクする」仕掛けづくりが求められているのではないだろうか。